わたしは大学卒業後、進学塾で国語専任講師(中学受験から大学受験まで担当)になりました。もちろん、小論文の授業担当でもありました。
担当になった頃、悩みがありました。大きく考えて2つの悩みを抱えていました。これらはおそらくみなさんが抱えている悩みと似たようなものだと思います。
1つ目は、「書き方」です。どのような「書き方」を教えるべきかということです。学校や塾、または参考書などで、今まで「正しい小論文の書き方」を教わってきていない生徒たちは「どのように書いてよいのか分からない」のです。
本当に書けない高校生が多いことに驚きました。まず、どのような状態になっているのか徹底的に確認してみました。すると、下記のようなことが多かったのです。(もちろん、他にもいろいろありましたが)
1):そもそも書き出しに困る
2):段落と段落のつなぎ目がうまくつながらない
3):たくさん書いているとまとまりがなくなる
4):書くことがなくなる
このようなことは、「書き方」を教えてあげればかなり改善できる話です。実際、「段落の構成」を教えただけでかなり書けるようになりました。とにかく、(1)(2)(3)(4)で困らないように、徹底的に「書き方」を教えたのです。これでずいぶんと書けるようになりました。ただ・・・
2つ目の悩みが出てきました。それは・・・
「テーマによっては発想すらできない(全く書けない)場合がある」ということ。
得意なテーマや易しいテーマだと書けるのですが、予想外のものが出題されると、とたんに書けなくなることがあったのです。それからのわたしは、次のようなことばかり考えていました。
「どんなに予想外のテーマが出ても、書けるようになる方法はないものか?」
しかし、その解決策はなかなか見つかりません。教員をしている友人に「何か良い指導法はないか?」と尋ねると・・
「難しいだろうな」と言われ、思い悩む時期が数ヶ月以上続きましたが、小論文の講師である限りは、「最高の小論文授業を。最高の添削指導をする責任がわたしにはある」という使命感から、どうしてもあきらめきれませんでした。ある日、わたしが悩んでいることを知った友人の知り合いである大学の先生がつぎのように言うのです。
「かなり大変な作業だが、評論文(説明文)の文章をすべて読めば何かつかめると思うよ」
そのときは、それがどういう意味なのか分かりませんでした。しかし、大学入試の問題集などを20冊から30冊程度読んでいると感じることがありました。まず、「深い知識」です。できるだけ広く深い知識を得ることで苦手テーマは少なくなります。ポイントは、「広く浅く」ではなく、「広く深く」であることです。できるだけ深い知識を得ることで、より素晴らしい小論文が書けるのです。
「近代化とアイデンティティ」
「ジャーナリズムと国家権力」
このようなテーマが出ても、それぞれについて「深い」知識を頭に入れておけば大丈夫です。大切なことなので、もう一度言いますが、「深い」知識であることがポイントです。
たとえば・・・
「近代化と西洋化はどのような関係なのか」
「西洋文明とはどのような性質のものなのか」
「どうしてそのような性質になったのか」
このようなことまでしっかりと理解しておく必要があります。
わたしが感じたのはこれだけではありません。たしかに、表現は無限です。それはたしかなことです。100の文章があれば、間違いなく100通りの表現があります。しかし、問題集や教科書に載っている評論文(説明文)は、大きな内容としては、いくつかに分類できると感じ始めたのです。それからさらに、あらゆる大学入試の国語の問題集を読みました。費用もかなりかかりましたが、書店に並んでいるものはほとんど読んだと思います。高校入試などの問題集も読みましたので、おそらく100冊以上は自宅の本棚にあるでしょう。
そして、ようやく完成したのが・・
「5STEP学習法」なのです。
それは、わたしが小論文の講師になってから「8年後」のことでした。
「先生、これならどんなテーマでも書けると思うよ」
「これなら深い小論文が書けるよ」
このような高校生たちの声を聞き、これなら、「書き方にも困らない」「どんなテーマにも対応できる」と心から感じました。
下記に「5STEP学習法」とは、どのようなものなのか分かりやすく説明しておきますね。 |